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五感を研ぎ澄ます、英国ライトウェイトの至宝

「パワー(馬力)に頼るのではない。圧倒的な軽さと優れたシャシー剛性こそが、純粋な走りの歓びを生む」

ジネッタ(GINETTA)は、1958年に英国でウォークレット4兄弟によって設立された、知る人ぞ知る名門スポーツカーブランドです。大資本の量産メーカーとは一線を画し、創業当初から一貫してモータースポーツの現場からフィードバックされた「本物のライトウェイトスポーツ」だけを実直に作り続けてきました。

その最大の特徴は、大資本の量産車には真似できない徹底したこだわりにあります。

  1. 驚異的な軽さ:

    鋼管スペースフレームとFRPボディによる、圧倒的な軽量設計。

  2. ダイレクトな操縦性:

    電子制御に頼らず、ドライバーの意志に電撃的な速さで反応するレーシングカー譲りのシャシー。

  3. 伝統のハンドメイド:

    イギリスの職人精神が息づく、1台1台丁寧に組み上げられる高い希少性。

60年代に世界のサーキットを震撼させた伝説のFR「G4」や、純血のミッドシップレーサー「G12」。そして90年代以降、創業者のDNAを受け継ぎ現代的な信頼性を伴って蘇った「DARE世代」の車両たち。五感を限界まで研ぎ澄まし、操る楽しさの原点へとドライバーを導く、英国が生んだ「走りの至宝」なのです。

G4R

Model Lineup Archive

GINETTA (DARE世代)

(1990s - 2000s)

1960年代にモータースポーツ界を席巻したジネッタの傑作車たちは、1990年代に創業者であるウォークレット兄弟が新たに設立した「DARE(Design and Racing Engineering)社」の手によって奇跡的な復活を遂げました。

オリジナルの設計思想や美しいスタイリングを忠実に受け継ぎながら、現代の基準に合わせたシャシー剛性の強化や、信頼性の高い近代的なパワーユニット(フォード・ゼーテックエンジンなど)への刷新が行われました。「DARE世代」と呼ばれるこれらのモデルは、1960年代のピュアなレーシング・ハンドリングと、ロードカーとしての現実的な運用性を高い次元で融合させた、至高のライトウェイトスポーツとして日本のエンスージアストからも今なお深く愛されています。

GINETTA G4 (DARE)

Ginetta G4 DARE
DARE Production / Tubular Space Frame

GINETTA G4

1960年代の伝説的なスタイリングと、鋼管スペースフレームにFRPボディを被せる伝統のパッケージを再現したDARE製G4。信頼性の高いフォード・ゼーテック(Zetec)1.8L/2.0Lエンジンのほか、ハイパワーなコスワースユニットを搭載した仕様も存在し、日本の保安基準に適合したロードカーでありながら、ドライバーの感性にダイレクトに響くピュアなコーナリング性能を誇ります。

Engine Ford Zetec 1.8L / Ford Zetec 2.0L / Cosworth YAC 2.0L
Power130ps / 165ps / 170ps
Weight720kg / 730kg / 740kg

GINETTA G12 (DARE)

Ginetta G12 DARE
DARE Production / Mid-ship Racing Origin

GINETTA G12

英国ミッドシップ・レーシングカーの金字塔をDARE社がロードゴーイング・スポーツとしてリバイバル。超低全高のスペースフレーム・シャシー中央に、縦置きでフォード・ゼーテック、あるいは過激なコスワース(BDAやYACなど)エンジンをマウント。レーシングカーそのものの地を這うようなアイポイントと、極限のハンドリングを体感できるソリッドな1台です。

EngineFord Zetec 2.0L / Cosworth BDA 1.6L / Cosworth YAC 2.0L
Power165ps / 150ps / 170ps
Weight680kg / 650kg / 690kg

GINETTA G16 (DARE)

Ginetta G16 DARE
DARE Production / Big-Bore Prototype Replica

GINETTA G16

1968年の大排気量レーシングプロトタイプ「G16」を、DARE社が極めて小数ライセンス生産した希少なモデル。G4やG12よりも一回り大柄でグラマラスなボディを持ち、マルチチューブラーフレームにチューンド・ゼーテックやコスワースユニットを組み合わせることで、強烈なパワーウェイトレシオとダイナミックな走りを実現しています。

EngineFord Zetec 2.0L / Cosworth 2.0L
Power170ps / 210ps - 240ps
Weight 710kg / 630 - 730kg

History

1958年:あくなき情熱から始まった「ウォークレット4兄弟」の挑戦

ジネッタの歴史は、英国サフォーク州ウッドブリッジで農業機械の修理やエンジニアリングを営んでいたウォークレット家の4兄弟(ボブ、アイバー、トレバー、ダグラス)の情熱から始まりました。
経営のボブ、天才デザイナーのアイバー、FRP造形のトレバー、財務のダグラス。全員が熱狂的なモータースポーツファンだった兄弟は、1950年代半ばから自宅ガレージでオリジナルのスペシャルレーサー(G1~G3)を試作。そして1958年、本格的な自動車製造メーカーとして「Ginetta Cars」を設立しました。 ブランド名は、当時イタリアの有名な女優だった「ジーナ・ロロブリジーダ」の愛称にちなんで名付けられたと言われています。

1960年代前半:伝説の幕開け、名車「G4」の誕生

1961年、ジネッタの名を世界に知らしめる不朽の名作「G4」が誕生します。
アイバー・ウォークレットが設計した強固な鋼管スペースフレームに、トレバーが手がけた丸みを帯びた美しいFRP製ボディを結合。フォード製の軽量なエンジンを搭載したG4は、車重わずか400kg台という驚異的な軽さを誇りました。
ロードカー(公道仕様)として発売されたG4ですが、サーキットに持ち込まれるやいなや、その圧倒的なパワーウェイトレシオとシャープなハンドリングで、並み居る大排気量のライバルたちを次々と撃破。国内外のクラブマンレースを席巻し、「最も小さく、最も獰猛なレーサー」としてその地位を確立しました。

1962年、ジネッタは生産能力を大幅に拡大するため、エセックス州ウィザム(Witham)のバザーズ・レーンにある新工場へと拠点を移します。このウィザムへの移転こそが、ジネッタがバックヤードビルダーから「本格的な自動車メーカー」へと脱皮する極めて重要な転換点となりました。

1960年代後半:ミッドシップへの挑戦とモータースポーツ最高峰への飛躍

モータースポーツの技術革新が加速する1960年代後半、ジネッタはさらなる高性能を求め、当時最先端のレイアウトであった「ミッドシップ」へと舵を切ります。

1966年には、純血のミッドシップレーサー「G12」を投入。国際レース(グループ4)でロータスやポルシェといった強豪を相手に互角以上の戦いを演じ、ジネッタのシャシー技術が世界トップレベルにあることを証明しました。さらに1968年には、過激なグループ6(スポーツプロトタイプ)世界選手権を戦うため、BRM製V8エンジンやクライマックス製エンジンを搭載可能なビッグ・プロトレーサー「G16」を開発。サーキットでの壮絶なスピードと、あくなき挑戦の姿勢は、世界中のレースファンの度肝を抜き続けました。

こうした過激なレーシングマシーン開発の一方で、ジネッタは1967年、市場に大きな衝撃を与えるロードカーを発表します。それが、ブランド史上最大の商業的成功を収めることになるリヤエンジン・スポーツクーペ「G15」です。
ヒルマン・インプの信頼性の高いコンポーネントと、ジネッタ伝統の軽量シャシーを組み合わせたG15は、高い実用性と軽快な走りがメディアで大絶賛され、注文が殺到。約800台が生産される桁違いの大ヒットとなり、ジネッタは名実ともにイギリスを代表する自動車メーカーへと躍進しました。

1970年代:高級GT路線への挑戦と時代の荒波

G15の爆発的な大ヒットによる増産に対応するため、1968年、ジネッタはエセックス州ウィザムから、より巨大な生産能力を持つサドベリーの新工場へと拠点を拡大移転します。1970年には、時代のニーズを先取りしたラグジュアリーな本格GTクーペ「G21」を発表。1.7L〜3.0Lの多様なエンジンを揃え、熟成されたグランドツーリングカーとして新たな市場を開拓しました。

しかし1973年、ジネッタの前に厳しい現実が立ちはだかります。イギリスの税制改正による「キットカーへの免税措置の廃止」、そして世界を襲った「第1次オイルショック」のダブルパンチにより、それまでのビジネスモデルは崩壊し、経営は一転して大転換を迫られたのです。

市場の急激な冷え込みに伴い、かつての爆発的な勢いには陰りが見え始め、生産規模の縮小を余儀なくされていきます。そして1974年、ジネッタはサドベリー工場を閉鎖し、自動車メーカーとしての礎を築いた、慣れ親しんだウィザムの拠点へと再び戻る決断を下しました。

1980年代:原点回帰への模索と、創業者たちの引退

1974年にウィザムへと戻ったジネッタは、生産規模を縮小しながらも、再び原点である「手頃で楽しいライトウェイトスポーツ」への回帰を模索します。ワンメイクレース用の車両などを手掛けながら逼迫する経営を支え、1989年にはウォークレット兄弟の体制下で最後となる新型ミッドシップスポーツ「G32」を発表。市場への再開拓を試みます。

しかし、大手量産メーカー(トヨタ・MR2など)の台頭や景気後退の波が押し寄せる中、小さな工房であるジネッタが単独で生き残ることは困難を極めました。同年の1989年後半、30年以上におよびブランドを率いてきたウォークレット兄弟は、ジネッタの未来をマーティン・ファフ率いる投資家グループへと託し、惜しまれつつも第一線を退く(会社売却)決断を下したのです。

1990年代:新体制の苦難と、DARE社による「奇跡の復活」

ウォークレット兄弟の去った新生ジネッタ社は、1990年にV8エンジンを搭載したハイパワーなオープンモデル「G33」を発表します。しかし、前年に登場したマツダ・ロードスターの世界的大ヒットによる市場の激変や、新型車の開発コスト増大が重なり、ジネッタ社は1992年末についに経営破産(管財人の管理下)へと追い込まれてしまいます。

このブランド消滅の窮地にあって、独自の動きを見せたのが日本の熱狂的なエンスージアスト(インポーター)たちでした。当時、日本市場からは「往年の名車であるG4やG12を、もう一度新車で走らせたい」という熱烈な要望があり、破産直前のジネッタ社でも少数が継続生産されていたのです。ジネッタ社の破産によってその供給が途絶えることを恐れた日本のインポーターは、管財人からG4およびG12の販売権と知的財産権を買い取るという大胆な行動に出ます。

そして「オリジナルを再現できるのは、彼らしかいない」と、製造の依頼を持ち込んだ先が、1990年にアイバーとトレバーのウォークレット兄弟が立ち上げていたデザイン工房「DARE社」でした。

この日本からの情熱的なオファーを受け、DARE社は元のジネッタ社から生産治具(ジグ)やモールド(型)を引き取り、本格的な自動車製造メーカーとして復帰を果たします。(のちにDARE社はすべての製造権利と型を完全取得)

この復刻プロジェクトには、アイバーの息子であるマーク・ウォークレットをはじめとする次世代のエンジニアたちも参画。父親たちの天才的な設計思想を受け継ぎながら、1990年代後半にかけて3DCADなどの最新テクノロジーを導入。フォード製Zetecインジェクションエンジンの適合や足回りの近代化など、クラシック・ジネッタの図面を現代のロードカーとしてアップデートする大仕事をやってのけました。

こうして誕生した「DARE世代」の車両は、1960年代の美しい佇まいと、現代の道でも安心して走れる高い信頼性を両立し、日本のファンに熱狂的に迎えられることとなったのです。

2005年以降~現在:新生GINETTAの躍進と、DARE社の現在

新生GINETTA社(ローレンス・トムリンソン時代)

2005年、レーサーであり大富豪のローレンス・トムリンソン(LNTグループ)がGINETTA社を買収。ここからブランドは劇的な近代化を遂げます。現在は「英国最大の本格レーシングカーコンストラクター」として、ル・マン24時間耐久レースを戦うLMP3プロトタイプや、GT4レーシングカー(G56など)を自社開発。世界中のモータースポーツシーンで巨大な成功を収め続けています。

DARE社の現在

一方、ウォークレット兄弟の血統を受け継ぐDARE社は、現在もイギリスの工房で、G4やG12のパーツ供給や、世界中のコアなコレクターからのバックオーダーに応える限定的なハンドメイド生産を静かに続けています。

Heritage for the Future

時代を席巻したクラシック・ジネッタへの想い

私たちのショールームの看板に掲げられた「Witham Cars(ウィザムカーズ)」という屋号。 これは、自動車メーカーとしてのジネッタが本格的な量産への第一歩を踏み出し、伝説の名車「G4」をこの世に送り出した歴史的な聖地、英国エセックス州ウィザム(Witham)の地名に由来しています。
私たちは創業当初から、ジネッタというブランド、そしてウォークレット兄弟が紡いだライトウェイトスポーツの歴史に特別な、そして強いリスペクトと想い入れを抱いてまいりました。

時代を席巻したクラシック・ジネッタの、あの軽さ、狂おしいほどのダイレクト感、そして美しさ。私たちはこれまで数多くのクラシック・ジネッタを取り扱ってきた実績を基に、その濃密なDNAを凝縮し現代へと繋ぐDARE世代を中心とした至高のハンドリングマシーンを、誇りをもって最良のコンディションでお届けします。