K4-GP 7時間耐久レース 参戦レポート

2019.02.03
「K4-GP」7時間耐久レース 参戦レポート
in 富士スピードウェイ

K4-GP 4度目の挑戦!

 ファイナルスティントでの予期せぬマシントラブルにより、惜しくも順位を落とす結果となってしまった2018年。4度目の参戦となる2019年は昨年製作したマシンをベースに、考えられる課題・問題点を徹底的に見直し、これ以上ない状態に仕上げたマシンで挑む。

 K4GPにはGP1~GP5までの5つのクラスがあり、Club Witham Racingがエントリーするのは"NA換算850cc以上過給機付き/量産ベース"のGP3クラス。エンジンがノーマルでなければならないという規定は無いが、あえて最低限のモディファイで挑む。ロールケージ・バケットシート・4点ハーネス等、レースに必要な安全装備以外は市販車のままであり、給排気系にも手を加えてはいない。

 それでも高い戦闘力を発揮するのは500kgを切る圧倒的な軽さとシャシーのバランスの良さがあってこそである。

 2019年の大きな変更点がLSDの装着だ。今回は1.5wayに仕様変更し、フリクションプレートにも少し手を加えている。昨年の課題であった高速コーナーにおける内輪の空転によるロスが解消され、安定性が向上した。 

 そしてもう一点がタイヤの変更。昨年はノーマルよりタイヤ外径を大きくしてファイルの変更と同じ効果を狙った。しかし燃費の面では有利に働いたものの、エコタイヤゆえプッシュしたい場面でタイヤが負けてしまい、思うようにペースを上げることが出来ないという問題があった。そこで今回はホイールを15インチに変更し、ハイグリップなNeovaを装着した。

 新たにデジタル無線を導入。昨年までは携帯電話を使用たが、声が聞き取りづらく、ドライバーとピットの通信が難しかった。PTTスイッチはステアリング操作中にも通話可能なハンドルに設置した。

 メーターパネルにも小さな改良が加えられている。フューエルゲージの目盛りは燃料の残量を確実にピットへ伝えるための工夫だ。またイグニッションキーシリンダーに手をのばすことなくエンジンの停止/始動が出来るように、イグニッション/スタータースイッチをメーターパネルに新設した。昨年は縁石に乗り上げた際にイナーシャスイッチが作動し、タイムロスにより大きく順位を落とす結果なったため、イナーシャスイッチを無効化している。

テスト走行

 本戦の2週間前に富士スピードウェイで行われたフリープラクティスでマシンのテストを実施した。

 テスト走行ではマシンのセットアップはもちろんだが、出来るだけ正確な燃費のデータを取ることも重要な目的だ。使用できるガソリンの量と給油回数が定められており、単純な耐久レースではなく、エコラン的な要素も持ち合わせているのもK4GPの面白さの一つである。  まずはTipo 佐藤編集長がドライバーを務め、セーフティーカー導入時やアタック時など様々なシチュエーションを想定して、走行パターンを変更しながら燃費を計測。これらのデータと経験からの入念なシミュレーションによって、給油回数・タイミング・量を決定し、戦略を立てることが可能となる。

 テストの結果、一つ問題点も明らかになった。新たに採用したNeovaはSEVEN160には十二分以上のグリップ力を発揮するものの、燃費が悪化するのだ。グリップ力を重視したタイヤチョイスにより、外径が少し小さくなった事が影響しているようだ。K4GPにおいてはグリップ力の向上よりも、外径を大きくして燃費を稼いだほうが方がトータルでは良い結果が得られるであろうという結論にいたり、外径とグリップ力のバランスを吟味して、本戦で使用するタイヤを決定した。

  タイム・燃費ともに十分なデータを取ることができ、大いに手応えを感じられたテスト走行となった。本プロジェクトの内藤メカニックも満足そうである。

当日朝:給油~スタート前

 当日の天気予報は晴れのち雪。真っ白に雪化粧されたピットロードを走ってコースインした2018年の思い出が頭をよぎったが、朝から快晴となり、レース終了までは十分に天気は持ちそうであった。しかし気温はとても低く、路肩には数日前に降った雪が残り、路面には凍結が見られる。

 レーススタートはAM 9:00だが、チームクルーは5時にはFUJI SPEED WAY入りしてレースに備える。パドックにはドライバーが身体を休められるようにテントを設営して暖房を設置。ドリンクや温かい食事が用意され、サポート体制も抜かり無い。長丁場のレースではサポート重要である。

 K4GPは使用できる燃料の量と給油の回数がレギュレーションによって定められており、毎回その量は異なる。今回のレースは使用可能燃料76L、規定給油回数4回以上だ。ホームストレート端の給油ポイントで最初の燃料を満タンにしたあとは、朝日に照らされた富士山を背に、ドライバー全員でマシンを押してピットへと戻った。

 ピットではコースインギリギリまでドライバーチェンジのリハーサルが行われる。本番でのミスを防ぎ、限りなくタイムロスを減らすためだ。万端の状態にマシンは仕上がっているが、メカニックは万が一の見落としもないよう最終チェックに余念が無い。

 スタートドライバーを務める佐藤Tipo編集長がマシンへと乗り込む。AM 8:00コースイン。

 グリッドにマシンが整列し、コース上でブリーフィングが行われる。最高の状態に仕上げたマシンと新たに練り上げた戦略とともに参戦するチームクルーには余裕が感じられる。

1st&2nd Stint : 佐藤 Tipo編集長

 AM 9:00いよいよレーススタート!16:00のチェッカーに向け、ここから7時間の長い戦いが始まる。
 ファーストスティントはTIPO佐藤編集長だ。速さと燃費走行で抜群の安定感を誇る佐藤編集長に今年もスタートドライバーを託す。今年はファースト&セカンドのダブルスティントを務めてもらう作戦だ。

 佐藤編集長は豊富なレース経験で、さまざまな車が入り乱れるスタートの混雑状態からも、みずすましの様に順位を上げて行く。安定した走り故に燃費も良い。
 スタートから15周で、最初のピットイン。ある程度燃料を消費してタンクに空きが出来たら、給油所が混雑していないレース序盤に1回目の給油をする作戦だ。

 サインエリアに設置したテントでは、チーフメカニック内藤がテスト走行のデータとコースの状況からリアルタイムで燃料の残量を計算し、ペース配分やピットインの指示をドライバーに伝える。

 Club Witham RacingのSeven160はK4GPの為に製作されたトップチーム車両とは異なり、ストック状態に近い状態の為、1周当たりのラップタイムは強豪チームに適わない。しかしストック状態ゆえに安心感と信頼性は抜群で、コンスタントに周回を重ねる事ができるのが大きな強みでもある。

 セカンドスティンド終盤で横転する車両が出てイエローフラッグが振られたものの、大きな混乱もなく順調なスタートとなった。2時間半のドライブを終える頃には予定通りの上位をキープ。ほとんどタイムロスなく2度目の給油を終え、ピットに滑り込んで来た。

3rd Stint : 近藤 崇史
- Club Witham Racing -

 セカンドドライバーは昨年に引き続き近藤崇史。バイクでのレース経験もある近藤氏は昨年のK4レースで4輪レースへの意識も大いに高まっているようだ。
 2年目ということもあり、極めてスムーズに佐藤編集長とのドライバーチェンジを終えコースイン。

 1年ぶりの富士スピードウェイに1周目こそ走りも固かったようだが、本番に強い近藤崇史は周回を重ねるごとにSEVEN160のドライブのコツをつかみペースが上がり、安定したペースでラップを刻む。

 レース中、ホスピタリティテントではドライバーは勿論、チームクルー、来場者がいつでも暖をとれるようにスタッフがスタンバイしている。ドライバーは真冬のレースであっても精神・体調ともに万全で臨むことが可能だ。

 70周目、セーフティカーが導入されたタイミングでピットインの指示が出された。

4th Stint : 栗山 和弥
- Club Witham Racing -

 サードドライバーは栗山和弥。K4GPは初参戦ではあるものの、以前はLOTUS ELISEでクラブマンレースにも参戦していたこともあるレース経験の持ち主だ。さらに今回はシミュレータで富士スピードウェイも走り込んできたとのことで、実に心強い。

 イエローフラッグが振られる中のコースインとなったが、解除とともにペースアップ。栗山和弥はプライベートでもCATERHAM最強モデルの620Rをドライブしているだけあり、ブレのないラップタイムで周回を重ねていった。新たに導入したデジタル無線により、サインエリアからドライバーへの指示も確実に伝えることが出来た。

 栗山氏にとっては久々のレースであったが、周回を重ねるごとに実戦の感覚を思い出してきたのか、他車との競り合いを楽しんでいる姿が幾度かディスプレーに映し出されていた。102周目、給油所が空いているタイミングを狙ってピットイン。

Final Stint : 篠原祐二
- Club Witham Racing -

 ゴールまで残り1時間45分、ファイナルスティントを務める篠原にバトンが渡された。この時点でクラス5位、総合11位のポジションだ。

 昨年までは給油所が閉まる15時前に最後の給油を行っていたが、今年はファイナルスティントは無給油で走り切る作戦だ。本レースではセーフティカー導入も多かったため、ガソリンは温存できている。弾き出されるようにコースインした篠原は、そのまま素晴らしい勢いで追い上げていく。

 SEVEN 160はジワジワと、しかし確実に順位を上げて行き、あっという間にクラス3位まで浮上した。チーフメカニック内藤は「このまま行けば表彰台は確実だ」とサインガード脇で余裕の表情でレースを見守っていた。128周目、ペースアップの指示がドライバーに伝えられる。

 チェッカーまであと30分を切った頃、イエローフラッグ。コカコーラコーナーでクラッシュとアナウンスが入った。セーフティカーとともに列を作って走るSEVEN 160を見守る時間はとても長く感じられる。最後のスパートをかけるにかけられない篠原は相当な我慢を強いられたであろう。

Finish!

 セイフティカーランが解除されたのはチェッカーが振られるわずか10分前。篠原は再度猛スパートをかけるも、まもなくチェッカーが振られた。チームクルーはフェンスによじ登り、それぞれの思いでセブンを迎えいれる。ゴール後は無事7時間を走り切ったことを称えあう。レース終了後にチームメイトで達成感と充実感を共有する瞬間は何度味わっても最高だ!

   結果は総合5位、GP-3クラス2位でのフィニッシュ!128台の車両の中、ほぼストック状態でありながら上位に食い込むことが出来たSEVEN 160のポテンシャルの高さには改めて驚かされた。上位4台はK4GPに特化し、シャシーから完全なオリジナルで製作された純粋なレーシングマシンであることを考えれば、快挙と言えるだろう。

   同時にさらなる上位を狙おうとしたときに立ちはだかるトップ勢の壁の高さも痛感したレースでもあったが、それでこそSEVEN 160で挑戦のしがいがあるというものである。チーフメカニック内藤は、早くも来年の2020年のK4GPに向けて、どのようにマシンを仕上げ、どのような戦略で挑むか、考えを巡らせているようだ。