K4-GP 7時間耐久レース 参戦レポート

2020.02.02
「K4-GP」7時間耐久レース 参戦レポート
in 富士スピードウェイ

K4-GP 5度目の挑戦!

2019年のK4GPではクラス2位、総合5位という結果を残し、SEVENのポテンシャルの高さを改めて証明することが出来ました。 しかしそれと同時にK4GP専用に製作されたトップレベルのマシンたちの壁の厚さも痛感させられた年でもありました。

LSDの組み込み・サスペンションのセットアップなど、最低限のモディファイの中で、考えられる課題・問題点を徹底的に見直し、これ以上ない状態に仕上げたマシンで挑んだ2019年。 2020年は同様に大きな変更を加えず、基本的な点検とメンテナンスのみにとどめます。

走行5,000㎞、丸2シーズンをサーキット走行メインで使用してきたミッションを、状態確認を含めてオーバーホールする事となりました。 通常と比べてハードな使用状況であったにも関わらず、大きな損傷は見受けられません。 他のモデルも同様ですが、セブンの軽さゆえにドナーエンジン・ミッションにかかる負荷は大きなものではないようです。 念のためシンクロリング・シンクロハブを交換しました。SEVEN160のギヤ比でFUJIスピードウェイの走行した場合、3-4速の消耗が多い様です。

追い越しの際などに被視認性を高めるという目的に加え、消費電力を抑さえ少しでも燃費向上につながればという思いから、ヘッドライトバルブをLED化しました。 ハロゲンバルブの時はアイドリング時のライトONでのエンジンの回転数が落ち込んでいましたが、LEDバルブではライトONでも回転が安定しています。 どれほどの燃費改善につながるかは不明ですが、明らかにオルタネーターの負担は減っているようです。これは一般道を走行するSEVEN 160にも有効と思われます。

富士スピードウェイにてマシンのセットアップと燃費の計測を行います。様々なシチュエーションを想定し、各回転点数での走行パターンごとの詳細な燃費データの計測が重要です。 新たに選定したタイヤもテストしましたが、採用には至りませんでした。 ファクトリーに戻り、7時間を走るための入念な整備と、通常とは異なる予防的なメンテナンスを行い、耐久レースに備えます。

ゲートオープン

 当日は2月としては気温が高く、天気予報は一日晴れ。路肩には数日前に降った雪が残っているところもあったものの、路面の凍結はありません。 今までで一番いいコンディションでのレースとなりそうです。

 受付、ピット、サインエリアのテント、ホスピタリティテント、それぞれの場所で 同時に準備が進められていきます。誰一人として無駄な動きをすることなく、黙々と作業をこなしていくのは 経験豊富なチームクルーがそろっていてこそです。  

 ピットのすぐ裏に設営されたホスピタリティテント内では、食事の用意が進められています。
この日のメニューは、いつもイベントでお世話になっている『ブランジェリーおひさまぱん』のパン6種と温かいスープ2種。 テント内は暖房が効き、温かい食事をいつでも取ることが出来るサポート体制を整えています。

給油~スタート前

 使用できる燃料の量と給油の回数がレギュレーションによって定められており、毎回その量は異なります。 初めて参戦した2016年は86Lの燃料が使用可能でしたが、年々絞られ、2020年は昨年より13L少ない63Lとなりました。 今年はよりシビアな燃料管理が求められそうです。

 ピットに戻ったマシンはメカニックによる最終チェックが行なわれると同時に、ドライバーチェンジのリハーサルが行なわれます。 コースインまでドライバーチェンジのリハーサルが繰り返され、少しでも気になる点が見つかれば、すぐに改善します。 ピットインの時間を可能な限り短縮することも勝利への重要なカギとなるのです。

 いよいよスタートドライバーを務める佐藤 Tipo編集長がマシンへと乗り込みます。予定より少し遅れてAM 8:20コースイン。

 スターティンググリッドに整列した後はコース上でのドライバーズブリーフィング。 万全の態勢で臨むチームメイトの表情には自信と余裕が表れており、スタート前の緊張感も心地よく感じられます。

1st&2nd Stint : 佐藤 Tipo編集長

 路面に凍結はなく、ドライコンディション。 まずはセーフティカーが先導して3周のフォーメーションラップです。Club Witham RacingのSEVEN 160はほぼ最後尾に近い位置からのスタートとなりました。 今年もファーストスティントを務めるのはTipo 佐藤編集長。 LOTUS CUPで共に戦い、Witham Carsとの関わりも深いドライバーです。

 スタートから規定給油回数消化のために早めのピットイン。佐藤編集長がダブルスティントを務め、給油所が混み合わせないレース序盤、燃料タンクに空きが出来た時点で給油する作戦です。
 クラスもレベルも様々な120台以上の車が混走する中を抜群に安定した走りでラップを刻むTipo 佐藤編集長。 ラップチャートを見ても、ほとんどブレがなく、それゆえ燃費もよいのです。 チームが絶対の信頼を置いているのも頷けます。

 緊張した面持ちで佐藤編集長のピットインを待つセカンドドライバーはCATERHAM CARS JAPAN ブランドディレクターのジャスティン・ガーディナー。 流れるようなピット作業とドライバーチェンジで、給油からピット作業まで僅か5分ほどで完了します。

3rd Stint : Justin Gardnar
- Caterham Cars Japan -

 40LAP目、佐藤編集長からバトンを受け取ったジャスティンは、SEVEN160の生みの親であり、自身でも所有しています。 初参戦での全開走行で他のチームをゴボウ抜きしたジャスティンの走りが頭をよぎりましたが、今回は作戦通りに制限された回転数を正確にキープ。 スピードを抑えて周回を重ねるのには相当な我慢を強いられたはずです。

 サインエリアに張り付くチーフメカニック内藤には、ドライバーから無線で燃料計が示す残燃料・コース上のトラフィックが伝えられます。 ドライバーからの情報と蓄積したデータからリアルタイムで燃費と走行可能距離を計算し、ペース配分や給油のタイミングをドライバーに指示するのです。 内藤の横ではテクニカルエンジニアの武田氏が、ラップタイムの記録や給油所の混雑具合の確認などによりチームをサポートします。

 レース前のドライバーは体調を整え、レースを終えたドライバーはゆっくり身体を休めることが出来るホスピタリティテント。 真冬のレースでは温かい食事は本当にありがたいです。身体を温めることが出来るだけでも気力が回復します。

 作戦上回転数を抑えた走りでも着実に順位をあげ、上位ポジションをキープしてピットイン。給油所の混雑がなかなか解消せず、予定より6LAPほど遅れてのピットインとなりましたが、待ち時間ゼロで給油を終えることが出来ました。

4th Stint : 栗山 和弥
- Club Witham Racing -

 サードドライバーは栗山和弥。K4GPは昨年に引き続き2回目の参戦です。 誰よりも今回のK4GPを楽しみにしていたそうで、今回もシミュレータで富士スピードウェイを走り込んできたとのこと。

 プライベートではSEVEN 620Rをドライブする栗山氏は、2度目とは思えない驚くほど安定走りで周回を重ねていきます。 97週目、コース上落下物でイエローフラッグ。昨年は度重なるイエローフラッグの荒れた展開でしたが、今年は実に順調です。

 好順位をキープし、作戦通りに進むレース運びに嬉しそうなチームクルー。給油のタイミングがかなりずれ込んだため、ピットインを今か今かと思いながら走っていたというジャスティンはサードスティントを無事に走り終えることが出来てホッとした様子でした。

 栗山氏にバトンが渡った時点でクラス5位・総合12位でしたが、その後の追い上げによりクラス2位・総合5位に食い込みました。

Final Stint : 篠原祐二
- Club Witham Racing -

 14:20、ファイナルスティントを務める篠原にドライバーチェンジ。 ここまで給油もドライバーチェンジも極めてスムーズで、タイムロスは最小限に抑えられています。 このままチェッカーまで走り切ればイケる!!とチームクルーの誰もが

 回転数を抑え気味で走行との指示が出されていましたが、チェッカーまであと1時間というところでチーフメカ内藤から篠原にペースアップの指示が伝えられます。

 149LAP、目に見えて全体のペースが落ちてきはじめ、ホームストレートを駆け抜けるマシンのエンジン音も迫力がなくなってきました。綿密に練り上げた作戦が功を奏し、SEVEN 160にはまだ余力があります。 中にはチェッカーを目前にして燃料が切れ、コースの端に止まってしまうマシンもいるなか、SEVEN 160は快走を続け、ついにクラストップに躍り出ました。

 チェッカーが振られるまでは何が起こるかわからないのがレース。しかし目前に迫ったチェッカーと、クラストップのポジションをキープしホームストレートを駆け抜けるマシンを前に喜びを隠せないチームクルー。

Finish!

 7時間 155LAPを走り切ったSEVEN 160はクラストップでフィニッシュ!!!さらに最後の最後で逆転!総合で3位のポジションも獲得することが出来ました!

 今回の勝利を人一倍かみしめていたのがジャスティン。 実は2020年はSEVEN 160 生誕10周年!2010年にSEVEN160のプロトタイプ製作にGoサインが出たそうです。 「SEVENに軽自動車のエンジンを積んだら、K4GPで勝てるマシンになるんじゃないか?」とずっと考えていたと涙ぐみながら語っていたのが印象的でした。 構想・開発とずっと携わってきたジャスティンにとってSEVEN 160は我が子同然。今回の優勝は感慨深いものとなったようです。

 あたりが暗くなり始めたころ、表彰式がホームストレート上で行われます。 「1位 ゼッケン161 クラブウィザムレーシング」と呼ばれた瞬間には思わず鳥肌が立ちました。 「レースに必要な安全装備以外は市販車のまま」という制約の中で成し遂げた勝利をチームクルー全員で共有したこの日の事は、一生忘れられないものになりそうです。

 2016年初参戦でクラス3位総合14位・2019年にはクラス2位総合5位。そして5回目の参戦となった2020年、ついに優勝を勝ちとることが出来ました。 ロータスから脈々と継承されるDNAと素性の良さを、改めて証明出来たのではないでしょうか。 今回のレースで一区切りとなりましたが、Club Witham RacingはSEVEN160のさらなる可能性を模索しながら、新たなプロジェクトへ向けて動き出したいと思います。ご期待ください!