Maintenance Record
LOTUS EXIGE Mk1
メンテナンス
EXIGE Mk1のメンテナンスをご紹介します。少し特別なモデルでもあり、生産から年月が経過している車両でもあるため、診るべきこと、やるべきことが沢山です。
フロントハブベアリングの交換
左フロントハブベアリングにガタが出ていました。EXIGE Mk1には軽量なアルミ製のアップライトが採用されています。
油圧プレスで古いベアリングを抜き取ります。
新品のハブベアリングとCクリップ。
ベアリングを抜いたアップライトはウェットブラストで汚れを落とし、リフレッシュします。
綺麗になったアップライトを再度点検し、ダメージがないことを確認してから作業を進めていきます。
バーナーで熱したアップライトにベアリングを圧入し、続いてハブを圧入。
アップライトを元通り組み付け、交換作業は完了です。
ドライブシャフトブーツの交換
一見大きなヒビ割れはありませんでしたが、サイドからグリスが漏れてきていました。
CVジョイントやドライブシャフトはLOTUSの走行性能を支える重要なパーツですので、新品に交換しておきましょう。
分解したら古いグリスを綺麗に清掃し、各部に異常な磨耗やキズがないかを点検していきます。
幸いこの車両には問題は見られませんでした。
奥が新品のドライブシャフトブーツ。
右ドライブシャフトのインナー側のブーツは、高温のエキマニが直下に位置しており、他の箇所に比べて劣化が早い傾向にあります。
製造された年代を考えると、ローバー世代のLOTUSはO/Hや交換が必要な箇所がいろいろと出てくると思います。
なんか変だな?と思ったら、早めにご相談ください。
シリンダーヘッドガスケットの交換
EXIGE Mk1・SPORT ELISE・340R等、ハイパフォーマンスモデルに搭載されるVHPDエンジンのシリンダーヘッド。
バルブ径やタペット等の仕様だけでなく、細かな違いがあります。
ウォーターラインの赤矢印の部分は、通常のヘッドがバリが残ったままになっているのに対し、VHPDヘッドは綺麗に削り取られています。
これはバリが気泡の原因となるためです。
手に持っているのがヘッドガスケット。赤いシール部分の劣化により、LLCとエンジンオイルが混ざり、ヘッダータンクに油が浮く・エンジンオイルの乳化といった症状が現れます。
Rover Kエンジンの弱点の一つですので、EXIGE・ELISEオーナーは時々チェックしてあげてください。
タイミングベルトとハイドロマウントの交換
同時にタイミングベルトとハイドロマウントも交換します。
ここまでやっておけば、当分は安心してお乗りいただけると思います。
さて、メンテナンス作業も大詰め。まもなく試走が出来そうです!
ECUのセッティング
この車両では、EXIGEで比較的多くみられるEmerald社のK6タイプのECUに交換されています。簡単に説明すると一般的にフルコンと言われている種のECUで、自由に燃調や点火をいじる事が出来る仕様です。
ただし純正とは異なるため、どの様なMAPになっているのか?が非常に重要となります。そこで車両にパソコンを繋げて現状チェックからスタートとなりました。
最終仕上げは実走行を繰り返しつつ主に実用域で扱い易くなる様に一般走行をしながら調整を行いました。
次のオーナーさんはきっとこんな感じでアクセルを踏むかな?とか街乗りで回転数低めでシフトをする人かな?等々、色んなシチュエーションを想像しながら、満足なセッティングに仕上がりました。
このページで記載していない細かな作業や点検等も含め、これですべての作業が完了しました。いよいよ納車を待つばかりです。