Pickup! Norton vol.3

バイクの技術がまだまだ未成熟だった1950年、マン島TTレースでノートンに圧倒的な勝利をもたらした「フェザーベッドフレーム」や、エンジン・駆動系をラバーを介してフレームにマウントすることでの振動問題を軽減した「アイソラスティックフレーム」など、Nortonを語る上でフレームの存在は外せないものと思います。

本日は、新生Nortonのフレームにフォーカスを当ててご紹介です。

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Commando 961 シリーズに採用されているのはコンベンショナルなスチール製ダブルクレードルフレームです。今でこそ様々なバイクに採用されているダブルクレードルフレームが、ノートンが作り出した「フェザーベッドフレーム」を原型としているのは、バイク好きならばご存知のところだと思います。振動問題に悩まされたかつてのCommandoと違い、270°クランクとバランサーで振動を抑えているため、エンジンはリジッドマウントです。このフレームはドニントンサーキットパークのノートン本社近くの工房で1本1本手作りされています。

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フレームは後方へ向かうにつれて絞られており、上から見るとかなり細身です。またがってニーグリップをしてみると、そのスリムさに驚かされると思います。また、細かい部分をみていくと、シートカウルの固定方法など、見た目の美しさを優先して手間がかかる手法で製作されています。このスタイリングを実現するための細部にいたるまでのこだわりを見ていると、比類ない性能を持つ国産車も、美意識という点ではまだまだ学ぶべき部分があるのではないかと、個人的には思ってしまいます。

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ちなみにCommando961のフレームは、Sport, Cafe, SFともに共通ではありますが、シングルシート仕様とタンデムシート仕様でちょっとした違いがあります。よーく見ると、タンデム仕様はシートレール下部に補強が追加されているんです。シングル仕様でも華奢には見えないシートレールですが、大柄なヨーロッパ人を想定しているのでしょうか?なぜわざわざ作り分けたのか、興味深い部分です。

見れば見るほどに、過去の栄光によるブランドイメージを利用して安易に作ったバイクではなく、心からバイクが好きな人間が作り上げたことが伺いしれるノートン。
ノートン東京/Moto Withamにて是非一度実車をご覧ください。