先日まで作業が継続していたケータハムのBDRの整備をご紹介致します。コスワースが開発したBDRは、セブンの長い歴史の中でも最も人気が高いエンジンです。オーナー様は最近オイルの滲みが気になるようになってきたため、ツインカムヘッドの分解点検、ガスケットやタイミングベルトの交換などを実施することになりました。
カムカバーを取り外すとベルト駆動のシンプルなツインカムの構造がみえてきます。さらにどんどん分解していきます。
ツインカムヘッドを降ろしてバルブを分解し、燃焼室の状況を確認します。燃焼室やバルブ、ポートには、カーボンスラッジが付着していました。これからきれいに清掃していきます。
こちらは燃焼室のポートを拡大したところです。やはりカーボンが溜まっています。
こちらが清掃が完了したバルブ、もちろんステムシールの交換やバルブシートとの摺合わせも実施します。
ポート内部も慎重にスラッジを除去、地道な手作業の連続です。
すっかりきれいになった燃焼室、ヘッドガスケットやタイミングベルトも交換しました。これで気持よく吹け上がってくれるはずです。
ヘッドの組付けもBDRの難作業のひとつです。カムシャフトとカムスプロケットの勘合部分にはキー溝がなく、クランクにもアイマークがないため、バルブタイミングを合わせるためには正確な計測と微妙な調整が不可欠です。ダイヤルゲージを見ながら慎重に調整を続けます。調整次第でエンジンのパフォーマンス自体が左右されてしまいますので、経験とノウハウが最も重要です。まるでメカニックの技術を試すかのような、BDRならではの作業ですね。
無事に完成したBDR、F1で一時代を築いたDFVにも似たBDRのカムカバーがツインウェーバーと並ぶ姿は、いつ見ても絵になりますね。電子制御を寄せ付けないメカの塊りが持つ、独特の迫力があります。オイルの滲みも止まり、BDRの豪快な吹け上がりにオーナー様も大満足のご様子でした。