今回は先日紹介したジネッタのレース準備の続きです。
まずはドライサンプのサンプパンを外していきます。最近のエンジンのオイルパンは液体ガスケットを塗るだけで大丈夫ですが、ケントエンジンのオイルパンにはコルク製ガスケットが使用されています。
こちらが新品のコルク製ガスケットです。使用している間に少しづつ痩せていってしまうので、オイルがにじみ始めてしまった時にはネジを増し締めをする必要があります。この他にもロータスT/Cはカムカバーに、ケントエンジンではタペットカバーに、コルク製のガスケットが使用されています。
フライホイールの奥にあるクランクシャフトのシールキャリアを取り外していきます。クランクシャフトの右上に見えているのはジャックシャフトです。ツインカムヘッドに換装される前にはカムシャフトとして使われていたパーツですが、現時点ではこのシャフトの役目は多くてもメカニカルポンプとディストリビューター、オイルポンプの駆動のみになっています。
そして、今回のクラッチ交換の原因でもあったクランクのオイルシールです。やはりここもすんなり交換して作業終了という訳にはいきません。シールキャリアのセンター出しをしっかり行わないと、オイル漏れが再発してしまいますので、1/100mm単位で調整を繰り返し固定します。
こちらはフライホイールとリングギアです。ここもやはり最近の国産車の場合、フライホイールとリングギアがアッセンブリパーツとして供給されますので、多くてもクラッチカバー用のノックピンの圧入作業のみですが、こちらはリングギアの焼き嵌めから行わなくてはいけません。
焼き嵌めを行ってから、リングギアの周り止めの為に一手間加えます。
熱を加えすぎて歪まないようにしつつ溶接で固定します。こちらも重量バランスが崩れないように注意しながら、必要最低限の量で済ませます。
オイルパンを取り付ける前の腰下の画像です。画像だけでは50年以上も前に設計されたエンジンとは思えないですよね。このエンジンがジネッタに搭載されたのも50年近く前でしょうから、本当にすごいエンジンです。
次回はクラッチの取り付け作業をご紹介したいと思います。